2018年10月14日

日本主導のTPPがイギリスの危機を救う

赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』  2018-10-11 21:38:21

イギリスのEU離脱まであと半年、イギリスはEU離脱後の国家経済の行方に不安を抱いています。

混迷するEUとイギリスの離脱交渉

メイ首相はEUとの離脱交渉で、「EUの関税同盟と単一市場からイギリスを離脱させ人の移動の自由を終わらせる」、「モノに関しては自由貿易圏を創設する」などの条件を掲げています。これに対し、人、モノ、金、サービスの四つの移動の自由を基本理念に掲げるEUは、メイ政権の提示条件が妥協的であると批判し、交渉は膠着状態に陥っています。

しかし、EUの本音は別のところにあります。

実はEUは、域内2位の経済力と最大の軍事力を誇るイギリスの離脱と、イギリスに追随する他国の動きを警戒し、イギリスに嫌がらせをしているのです。その顕著な例が、メイ政権のモノの移動の自由に関する条件を逆手にとり、アイルランド国境管理問題【※1】を持ち出し、北アイルランドがEUとの関税同盟に残留せざるをえないよう仕向けています。つまり、北アイルランドに経済的国境を作るという圧力をかけイギリスの提示条件を拒絶しているのです。

【※1】イギリスとEUは2017年12月、地続きであるアイルランドと英領北アイルランドの物理的な国境管理(税関、検問所)を離脱後も復活させないことで基本合意した。

これに対し、メイ首相はEUに「合意なき離脱」という脅しをかけ、自らの離脱計画案の再考をEU側に求めています。仮にメイ首相の案をEUがのんでも、あるいは合意なき離脱となった場合でも、イギリス国会で批准されるかどうかは不透明で、メイ政権は厳しい舵取りを余儀なくされています。

国内問題としてのEU離脱

もともとイギリスはEU加盟に積極的ではありませんでした。EUの前々身であるEECにはフランス主導であることを理由に加盟を拒否し、EU加盟時には共通通貨のユーロを使わなかったことなどの事例がそれを物語っています。自国に対するプライドもあるし、EU経済圏に入ることのメリットも少ないと考えていたようです。ただ、ヨーロッパ全体が一つの経済圏としての機能を持ち始めたため貿易の面で加入せざるを得ない事情があったようです。

しかも、イギリスはEUの盟主であるのなら離脱はなかったと思われますが、イギリスがEUの大統領を輩出しているわけでもないし、フランス、ドイツなどにリーダーシップを握られていることが面白くなかったわけです。イギリスがリーダーシップを取れなかった理由は国内経済の低迷にあります。イギリスは国家の伝統ばかりを後生大事に抱えていてイノベーションができていなかったことに起因します。

イギリス国内の一部には離脱以降、世界経済の中でイギリスが新たな立ち位置を築くことができるのではないかとの期待もあります。しかし、その一方で、メイ首相の構想ではEUの規制から逃れられず、世界各国と自由にFTAを結ぶことができなくなると危惧する意見が出るほど国論が混乱しています。

いずれにせよイギリスが歴史的な変化の前に苦悩していることだけは間違いありません。

日英の新たな関係がイギリスを救う

先日の英経済紙フィナンシャルの一面に「英国のTPP加盟を歓迎する」との安倍首相のインタビュー記事が掲載されました。内容は「日本は諸手を上げて英国のTPP加盟を歓迎する。英国は合意なきEUを回避するため妥協してほしい」「英国のEU離脱による、日本のビジネスを含むグローバル経済に対するネガティブなインパクトが最小化されることを心底願っている」というものでした。

実際、イギリスの窮状を救うことができるのは日本だけのようです。TPP交渉でアメリカの離脱後も粘り強く推進してきた日本が、イギリスをTPPの枠組みに入れることでEU離脱後のイギリス経済の破綻を防ぐことが出来ると考えます。


日英の強固な関係は対中国戦略の柱となる

さらに、TPPのもう一つの本質的な機能は中国包囲網の形成にあります。

TPPへのイギリスの加盟は、海洋国家の日米英の連携が一層強まり、中国政府と中国海軍による違法行為の封じ込めに役立つものとなります。(ヨーロッパでもイギリスの領海、領有は広く、軍事戦略上きわめて有効です。)

イギリスのTPP加盟はEU離脱後のイギリス経済のマイナス面を補うだけでありません。
日本は積極的にイギリス支援に向かうべきだと思います。
posted by beetle at 10:01| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする