2018年10月12日

シアーズ倒産瀬戸際に思うこと

外から見る日本、見られる日本人  2018年10月11日10:00

アメリカの景気は絶好調といわれているのにこんな老舗デパートが大型倒産の瀬戸際に立っていることには感慨深いものがあります。同社は今週末にも破産法を申請する可能性があると報じられています。

シアーズは私にとって繁栄するアメリカを想起する代表的企業であります。初めてアメリカに渡った81年、シアーズローバック(これが当時の正式名称)はアメリカでもっともブイブイ言わせていた企業の一つで、ショッピングモールにはシアーズ、当時世界で最も高いシカゴのシアーズタワーに本社を置く全米の代表的企業でありました。私ですら、なつかしさを感じるのですから多くの中年以上のアメリカ人はノスタルジックな気分になっているのではないでしょうか。

しかし、現実を見るとその経営は真綿で首を絞めたような状態にありました。ここバンクーバーにもシアーズが鎮座していましたが、経営不振で撤退しました。その頃のシアーズの店内はがらんとしていて欲しいものを探すのに苦労した、という印象しか残っていません。年中バーゲンをしているため、今日の価格がいくらか、レジでチェックしないと分からないような状態であります。(これはカナダのほかのデパートでも同様です。何ともひどい価格戦略です。)

老舗デパートの倒産は消費行動の変化そのものであります。多くの人は必要なものがある程度そろってしまい、それらの使い勝手が悪いわけでもないとすればわざわざデパートでウィンドウショッピングにもなりません。つまり、ショーウィンドウを覗く下見に行くことすらなくなるほど先進国の国民生活は豊かになったということなのでしょう。

「シアーズ倒産の瀬戸際」は海の向こうの話と割り切るわけにはいきません。日本でも厳しい競争が日々繰り広げられています。最新のニュースではドン・キホーテが総合スーパーのユニーをファミマグループから買い取ることになりました。ドンキはユニーの店舗を活用しながらドンキ色に染めていくはずです。それはドンキが買収した長崎屋でも起きています。確かにスーパーの2階にある閑散とした衣料品売り場よりドンキの持つ魔性のような商品構成は思わず、立ち入りたくなるような興味深さがあります。

日本で長らく頭痛の種と言われている小売業種はデパートと総合スーパーであります。両業種とも閉店やリストラが全国規模で行われています。今後、最大の山場を迎えるのがコンビニと見ています。それはドラッグストアが快進撃をしており、コンビニ包囲網が出来つつあるからです。

「弁当はドラッグストアで買う」という常識はつい最近までなかったはずです。ところがイオンがオリジン弁当を買収、ドラッグストア業界NO1でイオングループのウエルシアがオリジンの弁当を格安で提供することでコンビニ=弁当の方程式を切り崩します。ちなみにオリジン弁当買収劇では最後まで戦ったのがイオンとドンキであり、弁当を制する者は小売業界を制することを見せつけたともいえるでしょう。

小売業界は時代とともに大きくその立ち位置を変えていくとも言えます。TSUTAYAはレンタルから立ち位置の変化に工夫をしています。一方、伊勢丹は高級食材スーパー、クィーンズを売却しました。業界内がくっついたり離れたりしながら大戦国時代を迎えているとも言えます。

シアーズは巨大化しすぎたがゆえに身動きが取れなくなったクジラのような気がします。かつてアメリカで一世を風靡したブロックバスタービデオというレンタルビデオ屋も業種転換できず倒産しました。ウォールマートはネットショッピングに力を入れ、アマゾンとの対抗心をむき出しにしています。

時代の風を読み、老体に鞭を打たなければ老舗もかつての栄光もすべて消え去るという厳しい時代を感じさせます。
posted by beetle at 08:40| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする