2018年05月02日

トランプ氏の強硬な側近たち

外から見る日本、見られる日本人  2018年05月01日10:00   


事業やプロジェクトを進めるにおいてどんなチーム員を組成すべきか、なかなか難しいものがあります。一般的には目標が明白でそこに向かって各々の専門的知識、ノウハウ、人脈を駆使できるような体制にすることが多いでしょう。これはビジネス目標が排他的ともいえるがゆえに同じベクトルの人間を集めることで効率を高めるのです。

では政治の世界はどうでしょうか?基本は同じだと思います。例えば安倍政権がかつてお友達政権と言われたこともありますが、総理が掲げた大目標の下、様々な個別案件を具現化していくことが閣僚の役目と考えれば、それをなしえれば「この政権はなかなかやるな」という評価につながります。(安倍政権の場合、一部においてできなかった点は言うまでもありません。ですが、100点満点を取った政権も歴史的にほとんどないわけで国民は何処まで許容するのか、ということかと思います。)

ではアメリカ。トランプ政権の人事はある意味、漫画チックすら感じました。大統領就任当初はとにかく、自身について来てくれる人材探しで試行錯誤したという印象があります。その中で大統領の英断を称えるなら、政権幹部を「よくぞ、我慢せずに首を斬った」と申し上げます。

トランプ大統領は政治家上がりではない点において人事について疎かったとみています。そのために自分を前面に出し、自分のスタイルを国民だけでなく政権内部に知らしめ、「俺に本当についてくるのは誰だ!」という目線で公務を推進してきました。

数多くの側近が変わっていきました。首になる側からすれば恨みつらみの数々も出てくるでしょうし、メディアは聞こえてくる声を報道します。結果として首を斬ったトランプ大統領のボイスはツィッター上の「奴はよくやった!」というねぎらいだけしかわからず大統領の本意まで分析したものはあまりなかった気がします。

今回、国務長官にマイク ポンペオCIA長官を昇格させると同時に大統領補佐官(国家安全保障問題担)にジョン ボルトン氏を起用しています。外交を牛耳るこの二人は強硬派であり武闘派的なところもあります。この二人がリードする外交体制を敷いたトランプ大統領の真意は何処にあるのでしょうか?

トランプ大統領は強いアメリカを目指しています。国内経済が活性化し、雇用を生み、海外に浮遊していたアメリカ企業のマネーを税制改革でレパトリ(回帰)させ、通商条約を一つずつ見直し、自国に有利なように改善作業を進めます。大統領就任当時の週刊誌的ネタによるドタバタ劇はどこかに行ってしまっています。実行力は凄まじく、好む好まざるにかかわらず「やると言ったらやる」を貫いています。

この作業が進捗すれば当然、世界各国との様々なディールが次の課題になります。そこには外交というビジネスとは違う次元のハードルも出てきます。トランプ大統領はこれら外交交渉に関し、「緩んだねじを締めあげる」ことを強く推し進め、外交も再交渉を通じて自国に有利な展開を図ろうとしているように見えます。

外交は非常に難しい案件ばかりですが、まずはイランとの核合意見直しに急ぐでしょう。アメリカはイランに強硬な条件を付け、新条件で合意するか、しないかを迫る手段をとるとみています。イランは現時点では「アメリカは後悔する」と声明を出していますが、どこかで落としどころを見つけるとみています。それはアメリカが金正恩氏に「見せつける」ことでもあります。「アメリカを怒らせると怖いぞ」であります。

今のところ、トランプ作戦は成功しています。経済ディールについてはNAFTA見直し交渉も進捗していますし、中国との通商交渉では中国から譲歩を引き出しています。韓国とのFTA再交渉は3週間で終わっています。そんな「怖い」トランプ氏にポンペオ氏とボルトン氏という二人が寄り添う形となれば誰でもおののくでしょう。

トランプ氏のやり方は取引再交渉であって押しつけではないところにポイントがあります。但し、交渉相手国にとっては条件悪化が伴うわけでどこまで飲めるか、でありますが、「嫌なら何が起きても知らないぞ」と言われれば今の世界情勢はトランプ型交渉スタイルが有利に見えます。

勿論、これが万能でいつの世にも通じる手段ではありません。しかし、強硬手段が政治のみならず、経済や通商交渉、更には一般的なビジネス交渉ですら今後、流行のスタイルになることはあり得ます。それが生み出す世界の不和も視野に入れなくてはいけませんが、少なくともトランプ大統領は常識を覆した交渉術で独走する可能性は頭に入れておいた方がよいかもしれません。
posted by beetle at 09:07| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする