2017年04月02日

中国、都市部で毎日1万人が「ガン宣告」潜在発症率3割

勝又壽良の経済時評 2017-04-02 05:00:00

環境監督当局が取締対象で汚染源の減少狙うが

中国で、世にも悲惨な現象が起こっている。何の落ち度もない一般の都市住民が、大気汚染の被害者である。毎日、1万人が「ガン宣告」を受けているという。まさに、生き地獄であろう。これが、社会主義を標榜する中国の現実である。

中国では近年、健康志向の人が増えており、マラソンやランニングを趣味とする人も増加中だ。だが、都市部を中心に大気汚染が深刻化しているため、街中を走ると逆に健康を害す可能性が高い。澄んだ空気のもと清潔な街中を気持ちよく走ることができる。こういう理由で、中国では東京マラソンへの出場が高い人気というのだ(『サーチナー』3月3日付)。

3月の東京マラソンでは、中国人が500人も参加したという。思い切り、日本のきれいな空気を吸ったことであろう。中国人には心から同情を申し上げたい。自らが好きで選んだ政府でもない。不平を言えば牢獄へ繋がれる。さぞや生き地獄であろう。

『大紀元』(3月26日付)は、「中国都市部、毎日1万人にがん宣告、3割が将来発病リスク」と題して、次のように報じた。

この記事は、単なる「健康問題」という視点で見るのでなく将来、中国の労働力が大きな影響を受けて経済的な損失をもたらす点を考慮していただきたい。むろん、生命を蝕む危険性が人権問題であることは言うまでもない。だが、こういう原因を作っている中国政府は、いずれ自らの権力基盤を弱めることに気づくべきなのだ。それに気づかず、国民の不平不満は、権力で抑え込んでいる。必ず、その限界は来るだろう。

中国政府は、目先の経済成長率を高める目的だけで、大気汚染など環境対策を怠ってきた。そのツケは、人命損傷という形で跳ね返り、膨大な治療費や生活保護費を払う形で中国政府の負担として降りかかるはずだ。中国政府は、健康で平和な生活を送れる普遍的な人権を侵害するほかに、成長基盤を歪めていることに気づかないのだ。このような政府は、存在価値があるだろうか。国威発揚とは、空母やミサイルを保持することでなく、国民を豊かで幸せにする政策にあるのだ。

(1)「最近、中国国立がんセンターが発表した、国内都市住民のガンに関するレポートによると、都市住民が一生でがんを患う確率は35%で、毎日1万人ががんと診断されていることが分かった。発病率と死亡率はともに肺がんが一位。レポートは、全国347社のがん登録施設の統計を中国国立がんセンターがとりまとめたもの。中国都市住民0〜85歳のケースを累計した。40歳の後で発病率は急速に上がるという。部位別では肺ガンが発病率・死亡率ともに最も高い。甲状腺ガンの発病率は急速に上昇しているという」。

中国国立がんセンターの発表によると、都市部では毎日、1万人が「ガン」の診断が下っているという。これは、異常を超えて空恐ろしいことである。一刻も早く、中国を逃れて安全地帯に逃れたいという人々の願いが痛いほど分かる。こんな地獄絵を放置してきた中国政府は、何と言って申し開きするのだろうか。とりわけ、40歳過ぎの発症率が高くなるというから、家庭が破壊されるほか企業にとっても大きな痛手であろう。

(2)「世界保健機関(WTO)が2014年2月に発表した『世界のがんレポート』によると、中国のがん発病率は世界一で、死亡率が高いのは肺ガンと伝えている。地下水や大気が工場廃棄物により汚染してガン疾患率が非常に高くなる『がん村』も指摘されている。国内外メディアに取り沙汰されたことで、2013年に環境保護部はこの問題を認めた。中国民間の専門家は、国内に『がん村』はおよそ459あり、中西部へと広がる傾向にあるという。環境汚染が、ガン発病率上昇の主因である。例えば、工場排出ガスや化学汚染した土砂が含まれるスモッグ、農薬大量散布、工業廃棄物の河川流入による水と大地の汚染などだ」。

WTOの『世界のがんレポート』(2014年)では、中国のがん発病率は世界一で、死亡率が高いのは肺がんと伝えている。がん患者が集中的に現れる「がん村」は、459ヶ所もあり、中西部へと広がる傾向にある。原因は、地下水や大気が工場廃棄物により汚染されていることだ。政府による環境管理の失敗を意味している。

中国は、厳しい環境対策法をつくっている。だが、当局の取り締まりは生温く、企業からの贈賄で手加減してきた。その結果が、国民の生命を脅かしており、取り返しのつかない事態を招いている。これが、社会主義国家の現実だ。いくら立派なマルクス・レーニン主義のご託宣を並べられても、誰も信じるはずがない。国民が共産党離れをするのは当然であろう。やるべきことをやらないで、やらなくてもいい軍拡に精を出す。典型的な「中華帝国」の道を歩んでいる。

(3)「中国環境保護部は2017年2月、全国の水資源に関する調査レポートを発表。24省98カ所で、基準を超えた『安全ではない』水質だったという。地下水と河川を含む12の水源は『劣X類水質』と認められ、工業用水にも使えない、いわゆる『どぶ水』だという。うち3つは重金属汚染であることが分かった。環境保護部の2015年のレポートでは、中国の約3分の2の地下水、約3分の1の河川・湖は『人が利用するには適さない』水質で、大量の農薬、工業廃棄物による重金属・廃水で汚染している。中国水利部の2016年に発表した最新の地下水動態月報によると、国内2013の地域の地下水の8割は、飲用や入浴に適さない深刻な汚染レベルであることが明らかにされた」。

中国環境保護部の2015年のレポートは、中国の約3分の2の地下水と約3分の1の河川・湖が、「人の利用するには適さない」水質であると判定している。中国の「がん村」が459ヶ所もある原因は、すべてここにある。企業が汚水を垂れ流し、過剰な農薬や肥料を投入したことが、環境汚染をもたらしている。

環境保全は、汚染が起きた段階で原因を除去することが鉄則である。時間が経てば経つほど除去コストがかかり、完全に汚染物質を除去できないのだ。中国政府は、この原則を怠ってきた。環境保全コストをかけることが、経済成長率にマイナスになると位置づけていたのだ。国民が多大の健康被害を受けながら無視してきた。過去の高度成長は、不十分な環境保全対策のもたらした結果でもある。

だが、最近の「反腐敗闘争」の一環で、企業の環境保全対策を監視する姿勢が強まっている。これまで当局は、企業からの賄賂によって取り締まりを手加減してきた。習政権の「反腐敗闘争」が、環境監督当局まで及んできた結果、違反行為への摘発が増えているという。

『日本経済新聞』(2月16日付)は、次のように伝えた。

(4)「中国政府が環境汚染の解消を狙い新手を打ち出した。新しい監視の対象は汚染源となる企業の工場ではなく、工場を取り締まる地方の監督当局だ。これまでは環境規制を厳しくしても当局と企業が癒着し改善が進まなかった。当局への監視の目を厳しくすることで、抜け道を塞ぐ作戦だ」。

中国政府は、環境違反取り締まり対象を企業から監督当局に替えたという。「反腐敗闘争」という位置づけで、監督当局が環境汚染企業の取り締まりを見逃しているのでないか、としているのだ。従来のケースでは、監督当局が査察企業に対して事前に査察日を伝えて、違反実態をカムフラージュさせてきた。酷いケースでは、石炭火力発電所の脱硫装置を査察日だけ稼働させて査察をパスする。こういうあくどい手口で大気汚染が進行した。この脱法行為を防ぐには、監督当局を取り調べることが効果的という判断になったのだ。

(5)「中国は大気や水質、土壌に関し世界で最も厳しい水準の環境規制を持つ。しかし、企業は担当官を賄賂などで取り込み、コストがかさむ環境投資を回避してきた。経済発展を優先する中央政府も黙認し、表面的な規制強化ばかりを国民にアピールしてきたのが実態だ。実際に健康被害が拡大し、住民による抗議やデモが各地で頻発。非難の矛先が共産党政権に向かうリスクが高まるなか、中央政は重い腰を上げた。『環境警察』とも呼ばれる新組織に強い権限を付与。『反腐敗運動』同様の厳しさで、各地の汚職役人を容赦なく摘発している」。

中国社会には、環境保全よりも経済成長を優先させるという基本的な発想法がある。全てが「カネ」で価値判断する。こういう貪欲社会がもたらした奇形的発想である。人間に対する評価も、カネや資産の多寡が尺度になっている。先進国とは、価値判断の基準が異なる社会である。人間の豊かな社会では、自然環境を守らなければならない。こういう理念が欠如しているのだ。それ故、監督当局への取り締まりを緩めれば、元の木阿弥になろう。

(6)「効果はてきめんだ。工場への監査で賄賂を受け取れば人生を棒に振る一方、工場の摘発などで手柄をあげれば出世の近道になる。『アメとムチ』の制度により当局担当者は目の色を変えて工場の査察に入り、例えば上海市では毎月数百社の違反企業リストをサイトに公開し始めた。違反企業は数億円単位の罰金を科せられることもある」。

中国の恐ろしさは、基本的倫理観が存在しないことだ。命令だから行う、という極めて消極的な動機である。取り締まりがあろうがなかろうが、人間としてやってはならない。そういう最低限のモラルが存在しないのだ。これが、中国の自律的な発展を阻む最大の要因であろう。口先では、歯の浮くような極めて立派なことを言う。だが、なかなか実行しないのが中国である。口舌の徒なのだ
posted by beetle at 08:20| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする